みんさんは、「ピルビン酸キナーゼ欠損症」というのを存知でしょうか?
これはアビシニアン・ソマリ・ベンガルそして「シンガプーラ」などにみられる遺伝子疾患です。
ピルビン酸キナーゼ欠損症の発見
この遺伝子疾患は近年(2012年)、シンガプーラにもあると報告(日本での報告)された遺伝子疾患です。
その前から海外のキャテリーでは、シンガプーラの遺伝子検査は常識となっており、ほとんどのキャッテリーが検査をし、結果をホームページで報告しております。
しかし、日本に情報が入ってくるのも遅く、すでにかなりの数がこの疾患を持ったシンガプーラが飼われているのが現状です。
ピルビン酸キナーゼ欠損症ってどんなの?
ピルビン酸キナーゼは、赤血球細胞のエネルギー代謝において重要な酵素で、欠損になるとエネルギーが作られなくなってしまい、赤血球を破壊し溶血性貧血になってしまいます。
症状は軽い貧血、倦怠感、食欲不振などですが、命を脅かすほどの重症化することは、ごくまれと報告されていますが、重度の発症したばあい、寿命は極端に短くなってしまう報告があります。
ピルビン酸キナーゼ欠損症の調べ方
この疾患は性劣性遺伝で両親からの遺伝で継承されます。これは遺伝子検査をしないと確認できません。
両親の検査結果が明確であれば、子猫の遺伝子のパターンは予測できます。
検査機関は、国内、海外の両方があります。
Kが発症遺伝子、Nが発症しない遺伝子の場合。
K/K 遺伝子両方に異常がある場合。すでに発症しているか将来発症する可能性が高い。 (発症・アフェクッティド)
N/K 一方の遺伝子のみに異常がある場合。キャリア(保有者)ですが、猫は正常である。 (キャリア)
N/N どちらの遺伝子にも異常がない場合。PK-Defの可能性はなく、猫は正常である。 (ノーマル)
片親がノーマルの場合、相手がキャリアやアフェクッティドであっても、アフェクッティドの子猫は生まれません。
キャリアとキャリアの場合、1/4の確率で、キャリアとアフェクッティドの場合は1/2でアフェクッティドが生まれます。
アフェクッティド同士は全てアフェクッティドです。
当キャッテリーは「Veqta」さんで調べてもらっています。
主な症状と寿命
ピルビン酸キナーゼ欠損症は、生後2〜3ケ月から慢性的な貧血を起こします。成猫になるまで異常に気付かないことが多く、他の症状としては、倦怠感や食欲不振になってしまいます。
アフェクテッドの場合の寿命は約4年とされており、猫の平均寿命が15年ほどなので、約10年も短くなってしまいます。
治療ですが、現在、有効な治療法は見つかっておりません。
発症が確認されている猫はシンガプーラ以外にも、ベンガル、エジプシャン・マウ、ラ・パーマ、メインクーン、ノルウェージャンフォレスト、サバンナ、サイベリアン、アビシニアン、ソマリ で報告されています。
ピルビン酸キナーゼ欠損症をなくそう
安全な交配を行えば、「ピルビン酸キナーゼ欠損症」をなくしていくことが可能です。そのためには繁殖に使う全猫の遺伝子検査は必要になってきます。
ピルビン酸キナーゼ欠損症は症状が出にくいといわれており、この欠損症を重要視されていないブリーダーさんも多いとも聞きます。
そのため、ブリーダーさんのお客さんにも伝わらず、遺伝子疾患があるというのを説明なく購入されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シンガプーラは日本においてまだまだ数少ない猫種です。今後産まれてくる子猫たちの健康と安全のために、ブリーダー同士が協力して、取り組んでいかなければならないと思います。
もし、これからこの「ピルビン酸キナーゼ欠損症」の症状が報告されている種類の猫を飼おうと思っている方は、親の遺伝子検査がきちっとされているか、されているのであればその結果をブリーダーさんに確認してみてはいかがでしょうか!