飼育情報

猫のブリーダーになるにはどうすればいいの?

みなさんは、動物関係の仕事をしたいと思ったことはありますか?
動物の仕事にはペットショップ、ブリーダー、獣医、トリマー、などありますが、今回はその中のブリーダーという職業をご紹介したいと思います。

ブリーダーの種類

仕事としてのブリーダーですが、大きく分けて2種類あります。

繁殖業者

近年、ニュースなどでよくとりあげられる仕事形態で、パピーミル(繁殖業)と呼ばれています。
この仕事形態は、お金儲けの為に子猫を乱繁殖する業者のことで、その時の人気の猫種を理解しないまま繁殖し、動物を商品として扱っています。
予防接種などしていないのはもちろん、餌や掃除、運動なども満足にされない状態で飼育されています。経営者も勉強をしていないので、遺伝障害や病気なども蔓延し、インブリード(近親交配)もされています。
そんななかで生まれてくる子供も普通ではない子が多く、スタンダード(その種の基準)とは違う形状になります。
売れ残った猫や病気の出た猫は、捨てるか保健所へ持って行き処分されているのが現状で、保健所も販売業を持っている人からの引き取りは断っているのですが、それでも持ち込みは絶えないそうです。
そんなパピーミルの売り先は街中のペットショップが主になってきます。ペットショップで売れのこった子に安い値が付いている時がありますよね、、、、

ブリーダー

この形態は猫が好きでブリーダーをしている人で、その猫種を心より愛し、その猫種を世間に知ってもらいたいと願っている人のことをさします。
基本的には流行に左右されない好きな猫の種1種類か2種類くらいで繁殖されている方が多く、その種を専門的に勉強しますので知識も豊富です。
猫にはそれぞれの種類にスタンダードというものがありまして、そのスタンダードに近くなるように交配しています。もちろん遺伝子検査などで繁殖計画をしている人もいますので、より安心な子猫が生まれてくることが多いです。
ただ、ブリーダーの中でも悪質なブリーダーも存在しますので、猫を購入する際は猫の状態を見る前に、信頼できるブリーダーかどうかの見極めが必要になってきます。信頼できるブリーダーであれば必然的にいい猫が多いですし、リクスなどの説明もきっちりあります。
販売は独自販売になりますので、ブリーダーのホームページや販売の委託サイトからの販売が主です。
番外編:優良ブリーダー
悪質ブリーダーが存在するなか、その反対の優良ブリーダーも存在します。
このブリーダーは自分の生涯、財産を投げ打ってブリードをしている方で、猫もとても素晴らしい子が生まれてくる子が多いです。
この人たちはキャットショーを主な活動場所としており、国内はもちろん海外との連携もして、その猫種の飼育をしています。キャットショーで上位にいることはすごく大変で、費用もかなりかかってきます。

ブリーダーの仕事内容

子猫がいないとき

ブリーダーの仕事内容ですが、子猫のいないときは基本的には普通の猫の飼育とかわりません。
朝と夕方の室内、ケージ、トイレ掃除、餌やりとスキンシップ時間になります、特に猫のストレス発散にスキンシップ時間は重要になってきます。
この時に体調の変化や糞の状態、どこか外傷がないかなどのチェックをします。
これは動物愛護法(昭和四十八年法律第百五号)によって定められており、第一種取扱い業(ブリーダー)は守らなくてはなりません。

第二条
1.定期的に清掃及び消毒を行うとともに、汚物、残さ等を適切に処理し、衛生管理及び周辺の生活環境の保全に支障が生じないように清潔を保つこと。

2.一日一回以上巡回を行い、保守点検を行うこと。
3.清掃、消毒及び保守点検の実施状況について記録した台帳を調製し、これを五年間保管すること。

清掃、点検の台帳を作成し5年間の保管が義務付けられています。もちろん動物愛護センターのチェックも入ります。

子猫がいるとき

子供がいるときは、いないときに比べてやることが増えます。
それは母猫と子猫の健康チェックも必要で、ちゃんと毎日育っているかのチェックが重要になってきます。
もし、母猫が育児放棄をした場合は数時間おきのミルク、排泄処理が必要で、もし育児放棄になれば24時間の管理なので寝る時間が少なくなってしまいます。

ブリーダーになるにはどうすればいいの?資格は?

ねこ
ブリーダーになる覚悟ができたら、あとは資格の取得だけです。

必要な条件、資格

ステップ1「動物取扱責任者」の取得
1.営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験(ペットショップなどで半年の実務経験)
2.営もうとする第一種動物取扱業の種別に係わる知識及び技術について一年間以上教育する学校法人、その他の教育機関の卒業
3.公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって営もうとする第一種動物取扱業の種別に係わる知識及び技術を習得の証明
動物取扱責任者は上記のいずれかの1つを条件として取得できます。
いちばん容易なのは3番の試験による取得で、私は「家庭動物販売士」の合格で取得しました。(家庭動物販売士は3万円程度)
すでにアルバイトなどでペットショップに勤務している場合は1番で取得できます。

ステップ2「動物取扱業」の取得
営もうとする都道府県(動物愛護センター)への登録が必要になってきます。
業種は販売、保管、貸出、訓練、展示、その他、があり、ブリーダーの場合は販売、ペットホテルやトリマーなら保管、メディアなどへの貸出やモデルは貸出、動物を預かり訓練するには訓練、動物園や猫カフェは展示と、業種により必要な業が変わってきます。もちろん複数の取得も可能ですが、それぞれ15000円の費用必要です。
必要書面での申告したあと、後日、職員が飼養施設の床や壁の材料、処理施設や洗い場、ケージなどを見に来る、「直接立ち合い検査」があります。のこ検査は、動物取扱業の取得後にも抜き打ち形式であり、その際に日ごろ記入しなければいけない書類の確認もあります。
職員が見に来てOKをいただけたら、ブリーダー(ペットショップ)の許可がおります。

動物取扱業の取得は難しくありませんが、賃貸の場合は周囲への毛の飛散や悪臭の問題があるので、許可がおりない場合があります。
いままで聞いた話では、床が畳の場合、壁が砂壁の場合は許可がおりにくいなどを聞いたことがあります。

取得後は年1回5時間ほどの講習、5年ごとに「動物取扱業」の更新があります。
※動物取扱業は都道府県により細かい違いがありますので、住んでいる地域の動物愛護センター等に確認してください。

気になるブリーダーの年収は?

みなさんはブリーダーは年間どれくらいの子猫を販売すると思っていますか?
実はブリーダーの出産数は意外と少なく、年間の平均は10~20匹ほどなんです。なんで少ないのかというと、数が多い場合、怪我、病気のリスクが上がったり、1匹1匹への世話の時間が少なくなるからなんです。
パピーミルのように年間に数百匹も繁殖すると、1匹あたりの世話がズサンになってしまいます。もし病気になってしまうと一気に広まってしまい大変な事になってしまいます。
ブリーダーは利益より猫の体調を最重要で考え、無理な繁殖を控えることを心掛けることが大切です。
気になる年収ですが、もし20匹産まれたとして、全部売れたとしても20×20万で400万になります。ここから餌、砂、空調、諸経費(登録サイト)の費用が1匹につき4万~5万円ほどかかってしまうので、年収は300万円ほどになります。もちろん難産や産後の経過が悪いときは病院などで見てもらうので、そこからのマイナスになります。
猫は1回の出産で産まれる数が少なく(特にシンガプーラは平均2匹ほど)、年間20匹のときもあれば10匹のときもありますので収入が安定しません。
もしブリーダーを目指しているのであれば、時間の融通がきく本業をメインにし、副業でブリーダーを目指したほうが賢明です。

ブリーダーのメリット、デメリット

ブリーダーのメリット

ブリーダーのメリットは新しい命の誕生に立ち会えることの素晴らしさを味わえる事です。
だれもが、自分の飼っている猫が一番かわいいと思っていますよね?その猫に子供が産まれるとなったら自分の子供のように嬉しいです。
餌や砂を出しているメーカーさんから餌や用品が安く買えたります。
餌メーカーのロイヤルカナンさんなどは、ブリーダー登録をすると一般用で購入するより少し安く買えたりします。

ブリーダーのデメリット

悲しいことですが、ブリーダーのメリットは多いと思います。
1.遠出や旅行ができない 
これは毎日の世話の義務があり、1日でも世話を怠ることができたいためです。生き物とかかわる仕事なので、世話に休日はありません。風邪で寝込むことや病気や怪我での入院もできません。
2.獣臭&鳴き声
当然、飼育している猫の避妊手術はしていないので、スプレー行為や夜泣きがあります。布団や布の物にスプレー行為をされるととても臭くニオイが取れません。サカリの時の夜泣きはとてもうるさく一晩中泣くので寝れないですし、近所迷惑にもなります。
3.病気と死
産まれてくる子猫はすべて健康な子とは限りません、病気などで猫のつらい姿をみないといけないときもありますし、死亡時の悲しみがあります。
4.毛まみれ
思っている以上に毛まみれになります(笑)猫の毛に対する許容範囲がMAXになり、いきなり猫アレルギーになる方もいます。

最後に

今からブリーダーになりたいと思っている方も思っている人も多いとおもいます。
しかしブリーダーになる前に、いままで私が書いた事の覚悟があるのか、今一度考えてみてはいかかでしょうか?

私は、もともとは犬しか飼育したことがなく、子供のころから25年ほど常に犬がいる生活でした。最後に飼っていた犬がなくなりペットロスになっていたところ、保護猫の譲渡会で最初の猫に会い、犬とは別の猫の素晴らしさを感じました。そこからさらに保護猫を引き取り、現在では3匹の保護猫を飼育しています。
シンガプーラとの出会いはとあるネットの動画で、猫なのに犬と猫を合わせたような性格に驚き、この猫の容姿と性格に惚れてしまいました。
今ではいろいろな先輩方にアシストされながら、CFAのシンガプーラブリード3位という栄光までいただいてしまいました。これは私の努力ではなく頂いたブリーダーさんから素晴らしい子を頂いたたまものです。私もすばらしい猫を世に送り出せるよう、最大限の努力をしていきたいです。